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2013年05月10日

財産分与とは?

財産分与とは、婚姻中に夫婦が築いた共有の財産を精算することです。
該当するのは…家財道具、土地・建物などの不動産、車、預貯金、有価証券などです。

所有名義が夫婦どちらかになっていても、それを所有するにはもう一方の協力があったことが考慮され、共有財産とみなされます。

財産分与は、離婚理由に関係なく行われるものです。
すぐにでも離婚したいと思うあまり、衝動的に財産分与を放棄してしまったり、低い金額で妥協するのは絶対避けましょう。

また、一度書面に「財産分与を放棄する」「分与すべき財産は無いことを確認する」などと明記してしまったら、その後に財産分与を請求することは難しくなるので、相手から要求があっても、安易に文書を作成するのは避けましょう。


◎ 離婚届を出した後でも、2年以内なら請求の権利があります。

◎ 親権のように離婚時に必ず決める必要はないが、はっきりさせておいたほ
  うが後々問題が起こらなくて済む。

▲ 結婚前からの預金や嫁入り道具、親から相続した遺産、贈与された財産などは、夫婦の共有財産にはならない。  


Posted by 仙台家庭問題相談センター at 16:19Comments(0)財産分与

2013年05月10日

財産分与の四大要素

財産分与という括りの中にもいくつかの概念があり、単に結婚生活の清算だけではありません。
財産分与についての話し合いを行う前に、それぞれの概念を認識しておくことが大切です。

◆清算的財産分与
財産分与の代表的なもので、夫婦で築いた財産を離婚時に清算し分けること。
基本的には、婚姻中に購入したものならば夫婦の共有財産となる。
住宅や預金、自動車など、夫名義になっているものも共有財産となる。
妻が専業主婦で、夫の収入だけで購入した物でも共有財産となる。
住宅ローンなどの債務も共有財産となるので、支払いをどうするか決めておかないとトラブルの素となる。

◆扶養的財産分与
清算的財産分与だけでは離婚によって経済的な不安をきたす場合、相手を扶養することを目的とした財産分与。
妻が安定した収入がない場合や、小さな子供を引き取るなど、離婚後の生活が成り立たない場合、妻が経済的に自立できるまでの間、扶養的に財産を分与する。
具体的には夫の収入の一部を扶養的財産分与として妻に支払うなどがある。
家族や親戚に頼ることができたり、再婚相手が決まっているなど、経済的不安がない場合は対象にならない。

◆慰謝料的財産分与
本来、慰謝料と財産分与は別物ですが、離婚原因が相手にあることが明らかな場合、財産分与を決めるときに慰謝料の要素も加えて、財産分与の額を多めに設定することができる場合もある。

◆過去の婚姻費の清算
主に別居中の生活費を指す。
原因がどうであれ、別居中でも婚姻を続けていたならばお互いを扶養する義務があるので、自分と同程度の生活が維持できる生活費を支払わなければならない。
現実には別居中に、婚姻費用がきちんと支払われるケースが少ないので、別居中の婚姻費を財産分与の形で清算することになる。  


Posted by 仙台家庭問題相談センター at 17:01Comments(0)財産分与

2013年05月10日

家を持っている場合の財産分与

財産分与でいちばん難しいのは不動産の分与でしょう。

◆不動産を売却して、二分の一に分ける
不動産を売却してきれいに分けてしまえば、後々トラブルにならないというメリットがある。
しかし、買い手が付かず安くたたかれたり、不動産の価値が下がっていて、思っていたよりはるかに少ない金額しか入ってこない可能性もある。
ローンの残債が多い場合は、売却してもローンだけが残ることになり、お互いが折半して支払わなければならない。


どちらかが住み続ける場合

◆家のローンが残っていない場合
どちらか一方がその家に住み続け、その家の不動産価値の半分を「二分の一ルール」に基づいて、金銭で相手に支払う。
かなり高額になる場合がほとんどなので、その額を月々支払っていく「分割払い」にするのが一般的です。

◆家のローンが残っている場合
どちらか一方が残りのローンを払い続け、その家に住み続ける。
ローンの名義が夫でも、妻がその家に住むことになれば、事実上妻が支払っていくことになるが、ローンの契約者の変更は出来ない場合が多いので、後々トラブルになることがある。


財産分与の割合を決める

裁判所では「寄与度説(きよどせつ)」といい、夫婦がどれくらい共有財産の形成に寄与したかが評価されますが、基本的に収入に関わらず、それぞれ半々の寄与があると評価されるのが一般的です。
この基本的な考え方がいわゆる「二分の一ルール」といわれているものです。

夫婦どちらがどの程度、財産構築に寄与したかを判断するのはとても難しいものです。

最近では、共稼ぎの夫婦や、夫婦で自営業を営んでいる場合だけでなく、専業主婦の場合でも二分の一ずつで財産分与を行うケースが増えています。


二分の一に分与されないケース

専業主婦の場合でも、二分の一ルールに基づいて財産分与を行うのが最近の傾向ですが、夫婦一方の寄与度が著しく低い場合には、この割合は違ってきます。

例えば、夫が稼いできたお金を、専業主婦の妻が高価な服飾品やアクセサリーなどに使ってしまうような浪費家の場合、離婚時に財産を二分の一にしてしまうのはあまりに不公平です。

このように、財産を築く上で寄与度に明らかな違いがある場合は、当然財産分与の割合が違ってきます。  


Posted by 仙台家庭問題相談センター at 17:01Comments(0)財産分与

2013年05月10日

財産分与の対象とならないもの(特有財産)

婚姻中にお互いの協力で取得した財産は分与の対象になりますが、婚姻前に夫婦の一方が取得した財産は特有財産といい、財産分与の対象にはなりません。

特有財産は二人の共有財産ではなく、どちらか一方だけの財産として認められるものです。

主なものには、花嫁道具や結婚にあたり夫婦の一方が親から買ってもらったもの、贈与された新居などは対象外です。

また、婚姻中にどちらかの親族から相続した遺産や、贈与を受けた場合も対象とはなりません。  


Posted by 仙台家庭問題相談センター at 17:02Comments(0)財産分与

2013年05月10日

慰謝料・財産分与の不払いを防ぐ

協議離婚の場合、慰謝料や財産分与の不払いを防ぐには、必ず書面に残すことが重要になります。
口約束だけでは、必ずトラブルの原因になるといっても過言ではありません。

作成する書類は、法的な強制力を持つ「強制執行認諾文言付公正証書」というものを作っておくこと安心です。
この書類は、支払いが約束どうり履行されない場合、ただちに強制執行を受けてもかまいませんということが明記されている公正証書です。

調停離婚の場合には調停調書があり、裁判離婚の場合は、判決書や和解調書があるので大丈夫です。

なお、慰謝料の請求は三年過ぎると時効、財産分与に関しては離婚後二年過ぎると請求権が消滅してしまうので注意しましょう。  


Posted by 仙台家庭問題相談センター at 17:02Comments(0)財産分与

2013年05月10日

慰謝料・財産分与の不払いが起こったら

相手が慰謝料や財産分与に関する支払いを履行しない場合、協議離婚なら公正証書、調停離婚や裁判離婚の場合には調停調書や和解調書、判決書などが効力を発揮します。

◆調停離婚をして、調停調書がある場合
家庭裁判所に履行勧告の申し立てを行う。
申し立てを受けた家庭裁判所は、履行状況を調査し、支払いをしない相手に対し履行を勧告する。
この手続きにより、かなりの履行が確保されているという現状があり、不払いに対して非常に有効である。

家庭裁判所に履行命令の申し立てを行う。
履行勧告でも支払いが履行されない場合、家庭裁判所に履行命令の申し立てを行うことが出来る。
申し立てを受けた家庭裁判所が、内容に問題ないと判断すれば、期限を定めて支払うように命令を出す。
命令に従わなかった場合、10万円以下の過料が課せられる。

地方裁判所に強制執行の申し立てを行う。
履行命令にも従わない場合、地方裁判所に強制執行の申し立てを行い、相手の財産を差し押さえて、強制的に支払いを確保する。

◆協議離婚、裁判離婚の場合
協議離婚の場合は「強制執行認諾文言付公正証書」を作成してあることを前提として、地方裁判所に強制執行の申し立てを行う。
「強制執行認諾文言付公正証書」を作成していない場合は申し立てが出来ない。
裁判離婚の場合は、判決書があるので申し立てが可能。  


Posted by 仙台家庭問題相談センター at 17:02Comments(0)財産分与

2013年05月10日

退職金も分与の対象になる

夫が長年勤めた会社から受け取る退職金も、財産分与の対象になります。

夫が受け取る退職金は、妻の長年の協力によって得られるものと考えられるからです。

離婚が先に成立しても、現在の価値に直したらいくらか計算して、現時点で分与をします。  


Posted by 仙台家庭問題相談センター at 17:03Comments(0)財産分与

2013年05月10日

借金も分け合うのか?

住宅ローンや家族所有の自家用車のローンなどは、分け合う対象になります。

夫婦どちらかが婚姻期間中に、「勝手に」負った借金については、保証人になっていない限り、もう一方が払う義務はありません。  


Posted by 仙台家庭問題相談センター at 17:03Comments(0)財産分与

2013年05月10日

監護者とは

監護者は、あまり聞きなれない言葉だと思います。
「監護権」は子どもを監護・教育する権利で、親権の一部です。

監護者を親権者がかねる場合が多いのですが、別にすることもできます。
親権を持たなくても、監護権があれば、子どもを引き取る権利があります。

監護者は親でなくてもよく、子の利益に最も適していると判断できれば、祖父母やおじ・おば等でもかまいません。

乳幼児の監護者は、よほど不利な事情がない限り、母親のほうが適していると判断されます。

監護者は、当事者の協議によって変更できます。
また、戸籍には記載されません  


Posted by 仙台家庭問題相談センター at 17:05Comments(0)財産分与

2013年07月22日

財産分与(補足)

○婚姻中の財産
財産分与を考えるとき夫婦の財産を、以下の3つに分類します。


● 共有財産
婚姻中に夫婦の共同名義で購入し共有している財産や、共同生活に必要な家具や家財など。また夫婦のどちらのものか判断できない財産は、共有財産と推定されています


● 実質的共有財産
婚姻中に夫婦が協力して取得した財産で、名義が夫婦のどちらかになっているもの。例えば、名義は夫の名義となっている財産でも、その財産形成に妻が貢献していれば、実質的には夫婦の共有の財産となります。


● 特有財産
結婚前に夫婦各自が所有していた財産や、婚姻中に夫婦のいずれかが相続や贈与等で得た自己名義の財産。社会通念上、各自の持ち物と考えられる装身具など。但し特有財産でも、夫婦の一方が他方の特有財産の形成維持、増加に貢献していれば、寄与度の割合に応じて財産分与の対象とされる場合もあります。また、夫が結婚前から所有していた不動産は、夫の「特有財産」ですが、婚姻中にその不動産の価値が上昇した場合、その上昇した価値分は「共有財産」となることもあります。
 


財産分与の対象となるのは「共有財産」と「実質的共有財産」です。
「特有財産」は原則として財産分与の対象にはなりません。


○ 分与の対象となる財産とならない財産
 

上記で述べた通り、夫婦の全ての財産が財産分与の対象になるわけではありません。
具体的に何が財産分与の対象となるか、何がならないか具体的な例を挙げてみます。
 
● 対象となる財産
 

名義が夫婦の一方になっていても、その財産の形成維持に夫婦双方が貢献している場合は、財産分与の対象となります。

 ・土地や住宅などの不動産
 ・家具などの家財道具
 ・自動車
 ・銀行預金や、貯蓄性のある生命保険
 ・株券、国債などの有価証券
 ・ゴルフ場などの高額な会員権
 ・退職金

※既に退職金が受領済みであれば財産分与の対象となります。
但し、結婚前からの勤務期間分は対象から外されます。
また、近い将来支給されるについては、勤務先の経営状況などで、退職金の金額に不確定要素がある場合が多いので、確実に退職金が支給されることが立証されなければ、財産分与の算定の際に考慮に入れる事が難しいでしょう。立証されれば、退職金が支給された時点で分与されます。



・借金(債務)
※家事に必要な生活費や家賃の支払いなど、夫婦が共同生活をしていく上で生じた借金は、夫婦共同の財産分与の対象となり、連帯して支払う義務が生じてきます。
しかし、夫婦の一方が自分のために個人的に借りた借金は、清算の対象にはなりません。但し、その借金の連帯保証人になっていた場合は、支払わなければいけません。
 
● 対象とならない財産
 ・結婚前からそれぞれが有していた財産
 ・婚姻中に相続した遺産
 ・夫婦の一方が単独で使用している装飾品
 ・その他、夫婦の協力によって得た財産以外のもの
 

離婚をする前に対象となる財産と、対象にならない財産を確認して、対象となる財産の関係書類等(不動産書類、通帳や印鑑)を確保しておきましょう。また日頃から家計簿を付けておくのも良いと思われます。

 ・不動産登記簿謄本
 ・銀行預金通帳
 ・生命保険契約書
 ・自動車の車検証
 ・その他の有価証券


○ 不動産での財産分与
財産分与で問題になるのは、ローンが残っている不動産です。
財産分与の対象となるのは、不動産の時価から分与時のローン残債を差し引いた残りの金額となります。

 例)不動産の時価が3000万円で、ローンの残債が1000万円残っていた場合、
   3000万円から1000万円を差し引いた2000万円が財産分与の対象となり、
   2000万円を夫婦で分与することになります。

不動産を売却処分して、その代金を分与するのが、一番スッキリして理想的ですが、売却すると税金もかかり、ローンが残っている不動産を売却するとなれば、その後の返済も大変です。また債権者である金融機関の同意も必要となります。

そこで、不動産自体を分けるのではなく、その不動産を金銭に見積もり、不動産を譲り受ける側が、相手方に金銭を支払って解決するケースが多いようです。不動産の価値の算定方法は、市町村役場で取得できる「固定資産税の評価」などがありますが、金銭的に余裕があれば、不動産鑑定士に依頼するのも良いでしょう。
また、不動産を譲り受ける側が、名義変更をする場合には、必ず不動産の権利変動を登記してください。そうしないと完全な権利変動にはなりません。名義変更の手続きにも費用がかかりますので、この登記費用をどちらが負担するか取り決めをした方がよいでしょう。

借地上の建物を財産分与する場合では、借地権の譲渡を伴うので地主の了解も必要となります。


○ 財産分与の算定
財産の分与は、基本には夫婦の話し合いで取り決めます。
分与の算定基準は、夫婦が共有財産形成にどれだけ貢献したか寄与度によって割合を決めていきます。家庭裁判所でも婚姻期間別の統計資料がありますが、あくまでも目安であり、夫婦の年齢、婚姻年数、資産、職業、その他個別的な事情などにより財産分与の割合を取り決めていきます。金銭的な寄与以外にも家事や育児なども財産形成に貢献したと判断されます。


● 共働きの場合
共働きの夫婦は、財産形成の貢献度は半々とされ、財産分与は50%ずつとなります。
原則として、夫婦の収入の差が、寄与度の差にはならないのですが、実働時間などに極端な差がある場合には、寄与度に応じて割合を決めていきます。

● 専業主婦の場合
共働きの夫婦と比べると、家事労働の方が低く評価されてしまうようです。
判例の大半は20~50%程度で、財産分与が50%になるには、不動産などの財産を購入したときに、妻も現金を出した場合などです。
また離婚時に妻が高齢な専業主婦だった場合など、扶養的な要因があるときには50%まで認められるケースもありますが、一般的には低くなります。


● 夫婦で家業に従事する場合
共働き夫婦と同様に、財産形成の貢献度は半々とされ、財産分与は50%ずつとなります。但し、事業の運営に一方の手腕が多い場合には、その寄与度に応じた割合となります。


○ 財産分与の請求期間
離婚後に財産分与を請求する場合、消滅時効は2年です。(民法768条2項)
その期間を過ぎると請求できなくなります。離婚成立後に請求することも可能ですが、できるだけ離婚前に解決するのが良いでしょう。いったん離婚が成立した後では、相手も話し合いに応じてくれない場合もあり、財産分与の対象となる財産を散逸されたり、値切られたりする恐れがあります。できるだけ早く請求して解決することが望ましいでしょう。




○ 財産分与の税金

● 支払う側の税金
財産分与を金銭で支払う場合には、支払う側に対する税金はありません。財産分与を不動産や株式などで行う場合には、支払う側に譲渡所得が発生したとみなされ、譲渡所得として所得税と住民税が課税されます。
不動産を財産分与する場合、まず税務署に譲渡所得税などの税額を確認しておくことが重要です。但し、離婚後に居住用不動産を財産分与する場合には、譲渡所得の特別控除3000万円が適用されます。


● 受け取る側の税金
財産分与を金銭で受け取る場合には、受け取る側に対する税金はありません。財産分与を不動産で受け取った場合、通常不動産取得税はかかりません。但し、自分名義の財産にするためには、登録免許税など登記費用がかかります。
また、財産分与の額が、婚姻中に得た財産に対する寄与度や、その他一切の事情を考慮しても多すぎると判断された場合には、贈与税が課せられることもあります。  


Posted by 仙台家庭問題相談センター at 01:13Comments(0)財産分与

2013年07月22日

保証人

結婚後、夫の名義で住宅ローンを組みました。そのローンについて、妻が連帯保証人となりました。
その後、5年間ローンを返したところで、離婚し、妻が自宅を出てほかに移り住むことになりました。
まだローンが25年も残っていますが、このとき、妻は保証人から外れて責任を負わない、ということになるのでしょうか。
妻の立場からすれば、もう離婚したのだから、夫の負債について責任を負い続けるのは納得いかないでしょう。しかも、住宅には自分は住まないのですから、なおさら負債とは無関係になると考えるのが常識的だと思います。
ところが、この妻の考えは、間違っているのです。離婚し、自宅を出たからといって、保証人の責任は無くならないのです。離婚して何年も経ったとしても、そのままでは妻は保証人となったままなのです。

 

意外に思われた方もいるでしょうが、なぜ保証人のままになってしまうのでしょうか。
それは、債務の保証は、夫との間で約束をしたわけではなく、銀行などの債権者と妻が契約をしているからです。
夫と妻が離婚したとしても、銀行からすれば、銀行と妻が保証人の契約をしているのですから、離婚したからといって保証人から外れるのはおかしい、ということになります。
保証人となった際に、離婚した際には保証人から外れる、という取り決めでもあれば別ですが、現実にはそのような取り決めがなされることはまずありません。
ですので、離婚しても、別のところに住んでも、銀行との間の保証契約は生き続けていますので、夫がローンを完済するまで、いつまでも責任は残り続けてしまうのです。

 

では、妻が保証人から抜けることはまったくできないのでしょうか。
実は、保証人から抜ける方法が1つだけあります。それは、銀行から承諾をもらうことです。保証人の契約は銀行と結んでいますから、銀行の承諾が得られれば、契約を変更することができます。そのため、銀行からOKが出れば、保証人から外れることができるのです。
しかし、銀行は、離婚したという理由だけでは、保証人から外れることを認めません。
銀行としては、きちんとローンを全額返済してもらうために保証人をわざわざ立てています。
そのため、銀行から承諾をもらうためには、別の保証人を立てたり、保証人から外れるかわりにローンを一定額返済したりする必要があります。通常は、別の保証人を立てるという形で対応しています。
ただ、そうはいっても、自分とは関係ない夫のローンの保証人となってくれる人は、簡単に見つかるわけではありません。また、夫が新しい保証人探しに乗り気でない場合もあります。そうなってしまうと、なかなか保証人から抜けられないこともあり得ます。
特に、すでにローンを滞納しているような場合には、銀行も保証人の交代を認めないでしょうし、そのような状態で保証人になろうという人がいるはずもありません。
このような場合には、保証人から抜けられないままとなってしまうこともあるのです。
しかし、これはいったん保証人となってしまった以上、避けられない結果なのです。保証人というのは、それほど重大な責任を負う立場であるということです。
ですので、最終的に破産手続きを行って債務を免除してもらう、という事案も何度か経験しています。

 

保証人と離婚の際の処理については、このようになります。
債務や保証人の処理は、財産分与と関連して問題となることが非常に多いといえます。
特に、夫が事業者である場合には、事業に関する負債が多かったり、妻や妻の親族が保証人になっているというケースもあります。
このような場合には、その処理をめぐって深い対立が生じることがあります。
そのため、離婚協議や調停の中で、それらの点についても納得のいく解決を目指していく必要があるのです。

  


Posted by 仙台家庭問題相談センター at 01:14Comments(0)財産分与

2013年07月22日

住宅ローン

結婚し、住宅ローンを組んで自宅を持つ、というのは多くの夫婦が経験していることでしょう。
しかし、離婚時には、この住宅の処理をめぐって協議が難航する場面をよく目にします。
なぜこの問題が難しいかといえば、住宅の場合には、夫婦ともに所有名義を持っていたり、夫婦ともに債務を負っていることが多いからです。
住宅を購入する場合、夫が自分名義でローンを組み、自分名義で所有権登記を行う、というケースもあるでしょう。
これに対し、所有権を夫婦で2分の1ずつ共有名義にしている場合もあります。
ローンについても、夫婦ともにローン契約を締結している場合や、夫の住宅ローンを妻が連帯保証している場合もあります。
こういった場合、離婚しても所有名義や債務、保証人が自動的に解消されることはありませんので、その点をはっきりと処理する必要があるのです。

 

では、法律上、このような場合の財産分与はどのように扱われているのでしょうか。
実は、ローン付き住宅に関する処理の方法は、住宅の現在の価値と、現在のローン残額との関係によって、大きく2つに分けて考えなければなりません。
1つ目は、住宅の価値(今、売却したらいくらの値がつくか)が、ローン残額を上回っている場合です。
2つ目は、反対に、ローン残額が住宅の価値を超えており、いわゆるオーバーローン(住宅を売却してもローンが残ってしまう状態)の場合です。
それぞれ、処理の方法が大きく異なりますので、順番に解説していきます。

 

Ⅰ 住宅の価値 > ローン残額 の場合
たとえば、今、自宅を売却すれば2000万円で売れるのに対し、ローン残額が1200万円であるとします。
この場合、住宅の価値がローン残額を上回っていますから、もし自宅を売却してローンを返済すれば、手元に800万円の現金が残ります。
そうすると、この住宅には、現在800万円分の価値があると考えることができます。
あとは、この住宅が800万円分価値があるとして、原則として2分の1ずつ分配すればいいのです。

 

分配方法する具体的な方法は、たとえば、住宅を売ってしまうという方法があります。
離婚するとどちらかが自宅を出て行くことになりますので、お互いが自宅を離れ、売却してしまうことは珍しくありません。
この場合、売却してローンを完済し、現金800万円を2人で400万円ずつ受け取れることになります。

 

では、自宅を手放さず、維持してどちらかが住み続ける場合にはどうなるのでしょうか。
たとえば夫が住み続ける場合を考えると、夫は、800万円の価値がある自宅を1人で利用できることになります。そうすると、普通は所有権の名義も夫1人のものにするでしょう。
しかし、本来はこの自宅の価値は半分ずつ夫婦が取得できますので、夫は、妻に対し、400万円分を支払わなければなりません。
さきほどの自宅を売却する場合と異なるのは、自宅を売却した場合には実際に手元に入る現金を分ければいいのに対し、自宅を維持する場合は、ほかからお金を用意しなければならないという点です。
夫に全くほかにお金がない、という場合にはその金額を受け取ることが難しくなりますので、分割払いをして公正証書を作成するなど、お金を確保する方法を考えなければなりません。
またこの場合、住宅ローンも残り続けることになりますが、もし夫がローンを滞納して自宅が競売にかけられたとしても、結局、売り値の方がローンより高くなりますので、妻に支払いの請求が来る可能性は低いといえます。
これが自宅の価値がローン残額よりも高い場合の処理方法です。

 

Ⅱ 住宅の価値 < ローン残額  の場合
たとえば、自宅をいま売却すると1000万円で売れるけれども、ローン残額が1500万円あるという場合です。これがオーバーローンという状態です。
この場合、財産分与の判断では、この自宅に経済的価値がないと判断されます。なぜなら、いま売却してもすべて銀行にローンとして代金を持って行かれてしまい、手元には全くお金が残らないからです。つまり、まだ自宅は自分たちの財産になっていない、ということです。

 

この状態で、自宅を手放す場合を考えてみます。
自宅を売却した場合、売値は1000万円になりますが、ローンが1500万円ありますので、その代金はすべてローン返済にあてられるのが通常です。そうすると、自宅を売ってもまだ500万円のローンが残ります。
このローンをどうするか、という問題は財産分与の問題ではありません。
これは、「【離婚】 負債がある場合の財産分与はどうすればいいの?" 負債がある場合の財産分与はどうすればいいの?」で既に取り上げましたが、借金については、財産分与の対象とならず、各自がそのまま責任を負うということになります。
ですので、ローンを組んだ名義人や、保証人は、そのまま責任を負うということです。
この場合、離婚したから半分にしてほしいとか、保証人から外してほしいとかいうことも基本的にはできません。
離婚後はどちらが支払っていくかを協議したり、あるいは、支払えないため破産などの方法で解決するかを検討することになります。

反対に、自宅を維持する場合を考えてみましょう。
夫が自宅に残り、妻が出て行く場合を考えます。この場合も、住宅には価値がないことになりますので、財産分与の対象とはなりません。
そのため、さきほどの場合と同様、夫婦間でお金のやり取りはなく、ローンや保証人もそのまま、ということになります。
ただ、この場合、夫は自分が住む住宅のローンを払うのに対し、妻にはメリットがないまま、ローンの支払義務が残るというのは不公平な感じがします。
そこで、このような場合、前回の「【離婚】 離婚したら夫の債務の保証人から抜けられる? 離婚したら夫の債務の保証人から抜けられる?」で取り上げたような、保証人から抜ける方法をとるのが通常でしょう。
もちろん、結果的に保証人から抜けられないケースもありますが、できる限り、この点について協議を行っていくことになります。

以上が、ローンつき住宅がある場合の解決法です。
なお、どちらのケースでも、もともと夫婦が2分の1ずつ共有名義であった自宅を、離婚後もそのままにしておくケースも見かけます。特にオーバーローンとなっている場合に、そのままにしておくことがあるようです。
しかし、共有名義のままにしておくと、いずれこの自宅を売却する際に両方の同意が必要になってしまい、トラブルが生じるおそれがあります。
離婚後もお互いの連絡がついている場合はいいですが、離婚後、一切相手との関わりがなくなってしまったような場合、この共有名義の住宅を売ろうとしても手続きができない、ということが起こりえます。
そのため、いまは困らないからといってそのままにしておくのではなく、不動産の名義はどちらか1人のものにしておくことをお勧めしています。

  


Posted by 仙台家庭問題相談センター at 01:15Comments(0)財産分与